診療科・部門

呼吸器外科

治療方針

呼吸器外科のおもな対象疾患について

 胸の中で心臓・大血管、食道を除くすべての臓器(気管支・肺、縦隔など)の疾患が対象です。手術をはじめとして、抗がん剤治療や低侵襲な治療に至るまで幅広く取り組んでいます。以下に、主な疾患を示します。

1) 原発性肺がん
 呼吸器外科手術の対象疾患の約半数は原発性肺がんの患者さんです。
 肺がんは我が国のがん死亡のトップを占めており、年間約7万人の方が肺がんで死亡しています。現時点では、無症状のうちに肺がんを発見し、手術で切除することが最良の治療手段です。
 原発性肺がんに対する標準的な手術は、がんの発生した肺葉あるいは片肺を切除し、さらに周囲のリンパ節を摘除(専門的には‘リンパ節郭清’と呼びます)することです。患者さんの状況によっては、切除する範囲を小さくする縮小手術を行います。



 手術の結果をみて、必要に応じて手術後に再発予防のための化学療法(抗がん剤治療)を行っています。
 さらに、当院では診断から治療まで一貫した最新の医療を提供できるよう、呼吸器内科や放射線科の診断・治療専門スタッフと連携し、病状により手術が困難であっても放射線療法と化学療法を用いた集学的治療も行っています。

2) 転移性肺がん
 転移性肺がんとは、肺以外の臓器にできたがんが肺に転移してできた肺がんのことです。通常は、抗がん剤による全身的な化学療法がおこなわれますが、一定の条件をお持ちの患者さんでは、この肺転移病巣を外科的に切除することで良好な治療成果を得ることができます。


3)縦隔腫瘍
 縦隔(じゅうかく)とは、簡単にいうと右の肺と左の肺とで挟まれた胸の真ん中で、心臓・大血管や気管、食道がある部位です。
 この縦隔に発生した腫瘍を総称して「縦隔腫瘍」と呼びます。従って、一概に「縦隔腫瘍」といっても縦隔のどの組織から発生したかによって、胸腺腫、先天性嚢腫、神経原生腫瘍、胚細胞腫、リンパ腫など多彩な腫瘍が含まれます。総合すると約半数が悪性ですので、一部の腫瘍(リンパ腫)を除いて通常は診断と治療を兼ねて外科的切除が勧められます。手術症例のうち最も多いのは、胸腺腫です。

4) 悪性胸膜中皮腫
 悪性胸膜中皮腫とは、胸の内張りをしている胸膜から発生する悪性腫瘍です。アスベスト(石綿)粉塵の気道吸入が原因と考えられ、現在患者さんが増加しています。現在は確立した治療法はありませんが、新しい抗癌剤治療に手術(胸膜外肺全摘出術)や放射線治療を組み合わせた集学的治療を行っています。





5) 自然気胸
 自然気胸とは、元々肺にあった嚢胞(のうほう)や肺気腫が進行してできた嚢胞が破れて、肺から空気が漏れ、肺が縮んだ状態です。この肺嚢胞のことを通常、英語表記からブラ・ブレブと呼びます。
 気胸の治療は、①まず胸の中に漏れた空気を脱気しつぶれた肺の再膨張をはかること(局所麻酔下に胸の中に管を入れる)、②次に、原因となった破裂ブラ・ブレブを切除することです。手術適応は以下に示すとおりです。
  ① 胸に管を入れて脱気しても、十分でない患者さん
  ② 出血を伴う患者さん
  ③ 空気漏れが遷延している患者さん
  ④ 反復再発している患者さん
  ⑤ 両側性に発生した患者さん
  ⑥ 胸部X線で気胸の原因となったブラ・ブレブが明らかな患者さん
 以上のうち、絶対的に手術が必要な患者さんは①、②および③で、④〜⑥は将来のために予防的に勧められます。
 ただし、手術で完治しても、約10%の再発率があります。

 

胸腔鏡手術という内視鏡を用いた手術も行っています。

  従来、胸を大きく切開して行っていた種々の呼吸器外科手術に胸腔鏡が導入され、疾患によってはより小さな創で行えるようになりました。とくに、自然気胸をはじめとする良性の疾患(良性肺腫瘍や縦隔腫瘍の一部)は可能な限り胸腔鏡補助下に切除し、小さな傷で、入院期間の短縮も図っています。

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