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倫理委員会

平成24年度 第7回委員会審議平成24年2月29日

申請者 リウマチ科医長 末永 康夫
2011−016
「膠原病・リウマチ性疾患に掛かる医療費の推移を明らかにするための研究−国立病院機構における多施設共同研究−」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
疾患の治療目的を挙げると、1)患者の苦痛を軽減あるいわ除去する。2)生命予後を改善する。3)患者ADLの維持改善を図る。4)患者QOLの維持改善を図る。ということに集約されると考えられる。これらを実現させるために、薬剤が投与されたり、処置・手術が行われたり、リハビリテーションが施行されたり、こころのケアが行われるのである。
この目的の達成度を報告する臨床研究は無数にある。無数ある臨床研究報告の中で、最も質の高いものが治験である。その理由は、観察期間に制限があるとは言え有効性のみならず有害事象についても解析されていることが多いからである。すなわち、医療介入というものは常にベネフィットとリスクの両面を持ち合わせているのであるから、その両者を観測し公表するということは、医師あるいは患者が医療介入を選択する際の有用な判断材料になるからである。薬剤で言うなら、その公表された判断材料こそ、薬剤の添付文書そのものに他ならない。しかしながら、治験の結果が唯一無二の絶対的情報ではない。何故なら、「治験に組み込まれた患者集団と新規治療法が承認後適応される患者集団の背景因子は異なる」可能性が高いからである。すなわち、治験の段階においては、新規治療介入の有害事象リスク増加を懸念して安全性の高い被験者を組み入れることが多いのに対し、承認後はその適応基準が緩和されることが圧倒的に多いからである。このような手続きを非難しているのではない。「有用性の高い治療法をより迅速に提供する体制」という観点からは、推奨・許容される方法であろう。
まとめると、「治療介入効果に関して最も信頼すべき結果を導き出すのは治験であるが、当該治療が保険適応となった後の有害事象発生に関する追跡研究や観察研究は必ずしも十分ではない場合がある」ということである。近年、関節リウマチの治療は飛躍的に進歩した。その背景には強力な抗リウマチ効果を発揮する生物学的製剤の登場がある。他方、効果の反面、感染症発症リスクの増加が懸念されたため、治験段階と市販後で差異がないかを確認する目的で、一定期間市販後前例調査が行われた。これは画期的なことであるが、登録症例の追跡期間は24週という比較的短いものであった。
疾患に対する治療を考える時、理想的な経過は、「疾患が治癒あるいは改善し、かつ新たな合併症が生じない」であろう。言いかえれば、合併症に対する医療費が増加している状況があるとすれば、これは好ましくないことである。
本臨床研究の目的は、疾患治療に要した医療費と何らかの有害事象(合併症や新規有害事象)対応に要した医療費を経年的に観測していくことで、医療介入の妥当性を検証しようということである。再び関節リウマチを例に挙げると、強力な抗リウマチ効果を提供する新規薬剤の登場により患者ADLやQOLの改善・労働能力回復・関節機能債権手術の減少などがもたらされている可能性はあるが、感染症合併リスク・悪性疾患発症リスク・その他の合併症発症リスクの変化の有無あるいは程度に関する情報収集や解析による検証が必要と考えるのである。
今回、全ての疾患に関して解析を行うのではなく、国立病院機構施設において参加を希望している診療科の協力を得て、「膠原病・リウマチ性疾患に掛かる医療費の推移を明らかにするための研究」を企画した。
詳細な努力目標を記述すると以下のようになる。

・本邦、膠原病・リウマチ性疾患患者における医療費用全体を明らかにする。
・疾病治療費用(薬剤費用・検査費用・処置手術費用・麻酔費用・その他)  を調査する。
・掛かる患者に関する費用のうち、原疾患治療費用とそれ以外を鑑別する。

 本研究は、「臨床研究に関する倫理指針」を遵守するものであり、倫理委員会承認後に開始される臨床研究である。
 
判定 承認 本報告は全員一致で承認された。
申請者 麻酔科医長 大石 一成
2011−017
「PMX-DHP治療による敗血症性ショック患者血漿中の遊離DNA、酸化ストレスマーカー、血管新生関連因子変動の解析」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
ポリミキシンB固定化繊維カラム(PMX)によるエンドトキシン吸着療法は、敗血症性ショックの状態において、ショックの原因となるエンドトキシンを除去し、ショックを改善させること目的に行われる。しかし、最近では、ショックの改善にはエンドトキシン以外の物質の除去も関与している可能性が指摘され、炎症性サイトカイン、内因性大麻を始めその除去効果について研究がおこなわれている。今回の臨床研究では、敗血症の際に組織へ障害を与える因子として重要な酸化ストレス、細胞障害により血中に遊離しさらなる炎症をもたらすといわれる遊離DNA、また血管新生関連因子等についてPMX治療においてどのように変動するかを調査する。これらの因子はPMX治療においてどのように変化するかに関する研究は現在まで行われていない。具体的な各因子の測定物質として、酸化ストレスに関してはMDA(マロンデルアルデヒド)および80HdG(8ヒドロキシデオキシグアニン)、遊離DNAにおいてはdsDNA、血管新生関連因子においてはAngiopoietinl.2等についてPMX治療中における変化を検討する。今回の臨床研究により敗血症性ショックにおけるPMX治療のショック改善効果のメカニズムを明らかにするとともに、治療導入時期等の指標に役立てることを目的とする。
 
判定 承認 本報告は全員一致で承認された。
申請者 泌尿器科部長 田崎 義久
2011−018
「ドセタキセル化学療法中、または治療終了後に進行した前立腺がん患者の治療実態調査について」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
概要:多国間、多施設共同研究(非介入、前向き観察研究)
  ドセタキセルベースレジメンの化学療法を受け、疾患進行がみられた患者において、登録後12ヶ月間に計画・実施された一連の治療をプロスペクティブに調査する。
主要目的:
ドセタキセルベースの化学療法を受け、疾患の進行がみられたmCRPC患者における治療パターンを記述すること
副次目的:
・国ごとの治療アプローチの比較
・治療法の決定にたいする集学的治療(チームアプローチ)
・ドセタキセルベースレジメン後にさらなる治療を受けている患者の特徴
・ドセタキセルベースレジメン中の効果判定
・登録後の後治療に対する効果判定
・ドセタキセルベースレジメン中の疾患進行の種類
・登録後の後治療の実施中の疾患進行の種類
・化学療法及びホルモン療法以外の一連の治療
・治療法別の無増悪生存期間及び全生存期間
・ドセタキセルベースレジメン後にさらなる治療を受けた患者のQOL(EQ−5D質問票およびFACT-Pによる健康状態)
判定 承認 本報告は全員一致で承認された。
申請者 副院長 酒井 浩徳
2011−019
「病態別の患者の実態把握のための調査及び肝炎患者の病態に即した相談に対応できる相談員育成のための研修プログラム策定に関する研究 (厚生労働科学研究費補助金(肝炎関係研究分野) 」
申請の概要
医療行為及び医学研究の目的
本研究班では、B型、C型肝炎ウイルスに起因する慢性肝炎、肝硬変、肝がん患者の実態を把握し、その上で可能なものについてはこれらの患者の所得等の水準の実態把握を行い、病態別の患者に行うべき医療内容等を考慮し、各患者固有のニーズにできるだけ即した形で適切にアドバイスできる相談員等を効果的に育成するための研修プログラムを作成することを目的とする。
 
判定 承認 本報告は全員一致で承認された。